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【大学受験】共通テスト利用入試とは?メリットと実施大学のボーダーラインを解説

  • 2024.04.30
  • その他

大学受験に合格するため、多くの受験生は自分に最適な受験方式を模索します。その選択肢のひとつが、「共通テスト利用入試」です。共通テスト利用入試は主に私立大学で行われ、受験者の共通テストの結果を直接的に合否判定に利用します。この共通テスト利用入試は、メリットもありますが注意点も存在するのをご存じでしょうか。

そこで本記事では大学受験に臨む受験生向けに、共通テスト利用入試のメリットやデメリットを解説します。また、共通テスト利用入試を採用している有名大学のボーダーラインにも触れています。私立大学を希望する人、大学受験の志望校選びに悩んでいる人には参考になる内容です。ぜひ、最後まで記事をご覧ください。

共通テスト利用入試とは?

共通テスト利用入試は、共通テストの成績を直接使用して入学者を選抜する方式です。最大の利点は、一般の入試に比べて受験費用が安く、出願のハードルが低いことです。大学受験は出願だけで数万円もかかるため、コスト面を気にする受験生にはうれしいポイントでしょう。

また、個人的に希望する大学があるなら、共通テスト利用入試と一般入試の両方に出願できるところも受験生にはうれしい点です。そして、共通テスト利用入試には大きく2つの方式が存在します。それぞれの方式については、以下で詳しく説明します。

単独型方式

単独型方式とは、共通テストの結果だけを使用して受験者の合否を判断する入試方式です。この方式の大きな特徴は、出願数に制限がない点です。つまり、受験生は自分の希望に合わせて、複数の大学や学部、学科への出願が可能です。これは、多くの選択肢から自分に最適な大学や学部を選べる面で大きな利点といえます。

また、単独型方式では共通テストの成績が優秀であれば、個別試験を受けずに合格が確定します。これは、特定の科目に強い自信がある受験生にとって、大きなチャンスとなるでしょう。しかし、一般入試と比較すると高い学力が求められるため、総合的な学力や知識の習得が求められる高難度の試験形式でもあります。

なお、単独型方式では基本的に共通テストの実施前に志望校へ出願しなければなりません。受験生自身がどの程度共通テストで成績を残せるかを予測し、そのうえで出願する大学数を決める必要があります。これは、受験生にとっては一定のプレッシャーになる可能性もありますが、自己評価や自己理解を深めるよい機会とも捉えられます。

併用型方式

併用型方式とは、共通テストの結果と個別試験の結果を合計した点数で受験者の合否を判定する入試方式です。単独型方式とは異なり、共通テストだけの結果では合否が決まらない点が大きな特徴です。

共通テストで得点を稼ぎつつ、個別試験の弱点を補うといった試験対策も考えられます。また、併用型方式では、共通テストと個別試験の結果を比較して高得点を採用するパターンも存在します。これは、特定の科目で得点が高い受験生にとって大きな利点となるでしょう。

しかし、共通テストの結果だけでは合否が決まらないため、全体的な学力が求められるのは否めません。なお、大学の出願数については単独型方式と同じく、複数校への出願が可能です。

共通テスト利用入試:前期と後期との違いを理解する

大学受験において、共通テスト利用入試は前期と後期の2つに区分けされます。2つの期間は、それぞれどのような特徴を持っているのでしょうか。以下の項では、具体的な違いを詳しく解説します。

前期とは

共通テスト利用入試において、出願開始が共通テストよりも先に行われる状態を「前期」と呼んでいます。そして、前期は大学により3つのパターンに区分けされます。

  • 共通テストが実施される前

共通テストの結果が未確定の状態で、出願の締め切りを迎えます。そのため、共通テストの受験前に出願を完了させる必要があります。自分自身の共通テストの結果がどうなるか予測しながら、大学に出願するかを決定しなければなりません。3つのパターンのなかでは、受験生が一番不安を感じる時期といえます。

  • 共通テストが終了した数日後
  • 共通テスト終了後しばらく経過してから

共通テスト終了後に出願締め切りを迎えるパターンでは、テストの結果を自己採点する時間的な余裕もあります。これにより、ある程度合否判定を見定めてから出願できるのは大きなメリットです。

後期とは

「後期」とは、共通テスト終了後に出願が開始される期間を指します。受験生は共通テストの結果を参考に、自分に最適な大学へ出願できます。なお、後期では出願の開始時期は大学により異なります。たとえば、一部の大学では共通テストが終了した直後から出願が開始され、一方、2月から出願が開始される大学もあります。

大学の公式ホームページや入試情報サイトなどは、出願期間や入試情報の最新情報を掲載しています。出願のタイミングを逃さないように、こうした情報源を定期的にチェックするようにしましょう。

共通テスト利用入試のメリット

共通テスト利用入試は、受験生にとって有益な選択肢であることに間違いありません。しかし、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。以下では、共通テスト利用入試の主なメリットを解説します。

国公立大学と併願しやすい

東京大学や京都大学、一橋大学など、難関とされる国公立大学を目指す受験生は、受験対策に専念したいと考えるものです。しかし、国公立大学の勉強に集中すると私立大学の入試対策まで手が回りません。そこで役立つのが、共通テスト利用入試です。

共通テストの結果を私立大学の入試に活用できるため、国公立大学の学習に専念しつつ、私立大学への出願もできます。国公立大学を目指しながら、私立大学を滑り止めとして考えている人には大きなメリットです。また、私立大学に絞って受験を行う受験生にもメリットがあります。

共通テストの結果を用いて、複数の大学へ出願できるからです。それぞれの大学に合わせた試験対策が必要ない点は、限られた時間しかない受験生には大きな魅力といえるでしょう。

一般選抜入試との併願が可能

一般選抜入試と共通テスト利用入試を受ければ、異なる入試形式を利用して大学進学のチャンスが広げられます。共通テストの結果が自分の予想以下だった場合や志望校の基準未満でも、一般選抜入試を受けることで大学への合格機会は残されています。このように、一般選抜入試と併願できるのは、大学の合格率を高めたい受験生にとって大きなメリットです。

受験費用が抑えられる

共通テスト利用入試の受験料は18,000円で、私立大学や一般選抜入試と比較すると半額程度です。私立大学の一般選抜入試の受験料は25,000円〜35,000円程度が相場ですが、歯学系や医学系などの専門的な学部になると受験費用はさらに上がります。

そのため、複数の大学を受験する場合、経済的負担になることは間違いないですが、共通テスト利用入試を利用すれば、受験費用の大幅な削減が見込めます。このように、受験費用が抑えられるのは、共通テスト利用入試が持つ大きなメリットのひとつです。

地元の試験会場で受験できる

地方に住んでいる受験生のネックといえば、受験の際に発生する移動距離ではないでしょうか。東京や大阪といった大都市にある大学を希望する場合、受験するには現地まで足を運ばなければなりません。また、遠方の試験会場の場合は宿泊が必要な状況もあるため、宿泊費用などの費用負担も考えなければなりません。

しかし、共通テスト利用入試であれば、大都市まで出向かなくても地元の試験会場で受験できます。以前猛威を振るったコロナウィルスも2023年5月8日から「5類感染症」に緩和されましたが、2月の入試時期は感染症が流行するタイミングでもあります。移動先での人との接触や宿泊の負担軽減ができるのは、共通テスト利用入試の大きなメリットといえるでしょう。

合否の予測が立てやすい

多くの予備校で実施している模擬試験は、過去の共通テストを参考に問題が作成されています。それゆえ、模擬試験の成績は本番での結果と差異が少ないといわれています。模擬試験の結果が出願先を決める判断基準となり、自分自身に最適な出願先が見つけやすくなるでしょう。試験の合否についての予測が立てやすいのは、受験生にとって大きなメリットです。

共通テスト利用入試のデメリットと注意点

共通テスト利用入試は多くのメリットがある反面、デメリットや注意点も理解する必要があります。ここでは具体的なデメリットや注意点を説明します。

一般選抜入試よりも狭き門

東京にある有名大学の政治経済学部政治学科では、一般入試の募集人数が100名に対し、共通テスト利用入試の募集人数はわずか15名でした。このことから、共通テスト利用入試がいかに狭き門であるかがわかります。共通テスト利用入試の出願者が多い理由は、受験費用の安さや、共通テストの結果を複数の大学で利用できるといったメリットがあるためです。

しかし、そもそも募集人数が少ないことから合格するのは至難の業です。共通テスト利用入試はメリットが多く映りますが、募集人数の少なさから高倍率となり、合格するには厳しい競争に勝たなければなりません。

一般選抜入試よりも合格最低点が高い

共通テスト利用入試は一般選抜入試に比べて、合格に必要な最低点が高めです。なぜなら、国公立大学を目指す受験生が私立大学への滑り止めとして利用するためです。最低点は毎年変動しますが、一般選抜入試に比べて高い水準であることに変わりはありません。

共通テスト利用入試を実施していない大学もある

共通テスト利用入試は多くの大学で実施されていますが、すべての大学が採用しているわけではありません。たとえば、慶應義塾大学は共通テスト利用入試を採用していない数少ない大学です。

一般的には、有名大学=共通テスト利用入試を実施している、というイメージが強いかもしれませんが例外も存在します。したがって、志望校を決めるときは、共通テスト利用入試を実施しているかどうかを事前に確認する必要があります。

志望校を早めに決定しなければならない

私立大学の共通テスト利用入試の出願するタイミングは、テスト実施日より前に設定する大学が多いため、早めに志望校を決めなければなりません。一方、一般選抜試験の出願時期は、大学入学共通テスト実施後が一般的です。

これは、テストの結果を確認してから出願を考えられるため、志望校を決めるまで時間的に余裕があります。しかし、大学によっては志望校を早めに決める必要があるため、受験生を焦らせてしまう点はデメリットといえるかもしれません。

共通テスト利用入試を実施している大学のボーダーライン

ここでは、有名大学における共通テスト利用入試のボーダーラインを説明します。各大学のボーダーラインを理解することで、自分の学力との差が確認できるだけでなく、大学受験の判断材料にもなるでしょう。

早稲田大学

学部試験日募集人数共通テストの科目合否ボーダーライン
政治経済学部1月13日 1月14日50名5教科6科目/合計800点85〜89%
法学部1月13日 1月14日100名5教科6科目: 必須科目5教科5科目+選択1科目/合計800点88%
社会科学部1月13日 1月14日50名5教科6科目: 必須科目5教科5科目+選択1科目/合計625点89%
人間科学部1月13日 1月14日15名5教科6科目/合計500点79〜85%
スポーツ科学部1月13日 1月14日1:50名 2:50名1.共通テストのみ 4教科4科目: 必須科目3教科3科目+選択1教科1科目/合計500点 2.共通テスト+競技歴方式 3教科3科目: 必須科目2教科2科目+選択1教科1科目/合計400点76〜85%

上智大学

学部試験日合格発表日募集人数共通テストの科目合否ボーダーライン
神学部1月13日 1月14日2月16日  2名外国語+国語+地理歴史あるいは公民/合計500点69%~72%
文学部①1月13日 1月14日2月16日8名外国語+国語+地理歴史あるいは公民/合計500点74%~85%
文学部②1月13日 1月14日2月16日2名外国語+国語+地理歴史あるいは公民または数学/合計500点74%~85%
総合人間科学部1月13日 1月14日2月16日6名外国語+国語+地理歴史あるいは公民または数学/合計500点71%~86%
法学部1月13日 1月14日2月16日6名外国語+国語+地理歴史あるいは公民または数学/合計500点79%~86%
外国語学部1月13日 1月14日2月16日11名外国語+国語+地理歴史あるいは公民または数学/合計500点       72%~85%
総合グローバル学部1月13日 1月14日2月16日3名外国語+国語+地理歴史あるいは公民または数学/合計500点79%~85%

上智大学では、神学科、心理学科、看護学科のみ第2次試験(面接試験)が2月19日に行われます。第2次試験を受験した場合は、ほかの受験生と異なり、2月22日が合格発表日です。

GMARCH

学部共通テスト利用入試についての詳細情報合否ボーダーライン
G)学習院大学学部入試について69%~81%
M)明治大学2024年度の入試ガイド75%~86%
A)青山学院大学2024年度大学入学共通テスト利用入学者選抜72%~88%
R)立教大学2024年度大学入学共通テスト入試71%~89%
C)中央大学2024年度入試情報70%~85%
H)法政大学学生の受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)65%~82%

共通テストで必要な科目数は、大学ごとで異なります。6科目が必要な大学があれば、3科目で受験できる大学もあります。科目数に応じて、最低合格ラインのボーダーラインも大きく変わるため、事前のチェックは確実に行うべきです。

なお、受験科目数が少なければ少ないほど、共通テスト利用入試の合格最低点は高くなる傾向です。そのため、国公立大学の滑り止めとして利用するなら、合格最低点が低くなりやすい科目数の多い形式を選ぶとよいでしょう。なお、上記は2024年度の情報であるため、2025年度以降は変更する可能性があります。

まとめ

本記事では、大学受験における共通テスト利用入試について解説しました。記事内では、共通テスト利用入試の概要からメリット、デメリット、注意点を説明しています。共通テスト利用入試は、一般選抜入試とは異なる特性を持ち、国公立大学との併願ができる点や受験費用が安価な部分など多くのメリットがあります。

しかし、競争率が激しく、早期に志望校を決定する必要があるといったデメリットも理解しておく必要があるでしょう。これから大学受験にチャレンジする人は、今回の記事を参考に自分に最適な受験形式を選択しましょう。

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