共通テストとは、2021年度から始まった新しい大学入試の形式です。以前に実施されていたセンター試験に代わるもので、共通テストの主目的は、大学進学を希望する高校生の学力を判定することです。共通テストは大学進学に向けた重要な位置づけのため、事前準備と開始時期の把握は欠かせません。
そこで今回は、共通テストのスケジュールや学習方法を解説します。大学進学は人生の大きな節目であり、適切な準備をすることで大学受験の成功に近づけます。大学受験を控えた人には参考になる内容です。ぜひ、最後まで記事をご覧ください。
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共通テストとは、センター試験に代わって2021年度から導入されているテストです。毎年1月中旬の土曜日と日曜日の2日間で実施される本テストは、日本最大級の試験です。国公立大学の一般選抜受験者は、この共通テストを受ける必要があります。
さらに、多くの私立大学も共通テストの成績を利用しており、大学進学を考える受験生にとって共通テストは必要不可欠な存在です。それでは、受験生に必須の共通テストは、いつから対策を始めるべきなのでしょうか。以下では、具体的な対策時期について解説します。
共通テストの対策は、夏時期から始めるのが最適です。この時期から対策すると、すべての教科を対策する時間が確保できます。また、早めに着手すれば共通テストだけでなく、各大学の個別試験にも対応する余裕が生まれます。
夏時期の対策は、主に基礎固めの学習がおすすめです。具体的な勉強法としては、教科書に書かれている基本的な内容を理解し、知識を十分に叩き込みます。なお、この時期はまだ過去問に取り組む必要はありません。
11月から共通テストの対策を始めると、基礎知識を固める十分な時間が確保でき、過去問と演習にも積極的に取り組めます。日々の学習は継続が重要で、毎日10分でも基礎知識が固まるように反復学習を続けましょう。
どの科目をどれだけ勉強するかは、目指す学部や学科によって変化します。私立文系を目指す場合、社会は20%、英語は50%、国語は30%の時間配分が最適です。つまり、10時間の勉強時間であれば、社会2時間、英語5時間、国語3時間の勉強時間です。社会科は11月以降で十分に勉強できるため、まずは英語の実力を伸ばすことを優先するとよいでしょう。
続いて、国公立文系を目指す場合、社会10%、英語40%、国語30%、数学20%の時間配分がおすすめです。国公立理系を目指す場合、英語30%、数学30%、理科1は20%、理科2は20%の時間配分にします。英語が苦手な場合や理科の苦手分野があれば、時間の配分を変えて学習しても問題ありません。
共通テストの直前の12〜1月は、アウトプット中心の対策が重要です。そのため、過去問を中心に勉強を進めましょう。過去問を解くことで、実際の試験で出題される問題の傾向を把握できます。また、過去問を解きながら自分の弱点や失点している箇所の分析も重要です。そして、科目別の共通テストの特徴と学習方法は以下のとおりです。
国語の科目は、複数のスキルの強化が求められます。問題解決のための思考力、情報を適切に伝える表現力、情報を適切に解釈する判断力が必要です。なお、2025年度からは「近代以降の文章」が追加され、大問数が5つに増えます。
これは、受験生が近現代の文章を読解し、そのなかでの主題やテーマを把握する能力を試すものです。試験時間も10分延長され、全体で90分に変更されます。これは、より多くの内容をカバーするためであり、試験を受ける受験生は多くの知識とスキルが求められます。
社会(地理歴史・公民科目)の共通テストは、2025年度から大きく変更されます。地理総合や歴史総合、公民が増え、現代社会が削除されます。出題範囲が広がりますが、試験時間は変更されないため、以前よりも多くの問題を同じ時間で解かなくてはなりません。このため、広範な知識を効率よく学ぶ学習方法が求められます。
数学科目は2025年度からの変更により、数学2科目が数学II、数学B、数学Cに増加します。これにより、幅広い数学的知識と理解が求められます。また、出題範囲の拡張により試験時間が10分延長されますが、数学1の科目に変更はありません。以上の変更点から数学が苦手な受験生は、早めに対策を立てて克服していく必要があります。
理科の共通テストは大きな変更はありませんが、基本的な知識の理解と応用力を中心に学習を進めていきましょう。
理科同様、英語の共通テストに大きな変更点はありませんが、出題範囲が変更されています。現在の出題範囲は「コミュニケーション英語I、コミュニケーション英語II、英語表現I」ですが、「英語コミュニケーションI、英語コミュニケーションII、倫理・表現I」に変更されます。
なお、共通テストは、リーディングとリスニングの対策が必要不可欠です。リーディングは、読み取りした文章を英語で書くなど、文章の読み書きのバランスを重視した学習が必要です。また、リスニング対策は、日頃から英語の音声が耳に入る環境づくりによって、英語を聞き取る能力向上が見込めます。
そして、試験当日の時間管理や問題の解き方ですが、事前にイメージが持てれば試験を有利に進められます。実際と同じ時間配分で練習することで、試験当日にパニックになる心配もなくなるため、当日の試験時間を参考に事前演習をしておくとよいでしょう。
大学受験は学力だけでなく、勉強の計画性や挫折を乗り越える力など、さまざまな能力が必要です。ここでは、個別試験と共通テストの開始時期と時間配分を割合別に紹介します。
個別試験と共通テストでは、共通テストの方が難易度は低めです。そのため、個別試験の学習時間を最優先に学習計画を立てるとよいでしょう。
9月は、共通テストは除外して個別試験に全力を注ぎましょう。各科目の知識を向上させるには、集中的な学習時間が必要です。共通テストのみの科目は、隙間時間に少しずつ勉強を進めていけば十分です。
個別試験がある科目に対しては、引き続き集中して取り組みます。共通テストのみの科目については、各科目につき1日30分以上は勉強するように心がけましょう。これにより、共通テストの科目別の理解も深められます。
個別試験と共通テストのバランスを考えた学習計画が重要です。個別試験がある科目は、共通テスト:個別試験 = 3:7の割合で学習します。共通テストのみの科目は、各科目1日1時間以上は学習時間に充てるようにします。
個別試験がある科目に対して、共通テスト:個別試験 = 8:2の割合で勉強します。共通テストの直前ということで、共通テストに対する準備を重点的に行います。共通テストのみの科目については、各科目1日1時間以上は学習時間の確保が必須です。
9月は共通テストを迎えるまで時間があるため、個別試験に全力投球します。学習内容は基礎的な学力向上を優先とし、各科目の知識を深めるとともに、理解を確認するため「問題集」などを活用しましょう。一方、共通テストのみの科目については、隙間時間に学習すれば問題ありません。
個別試験がある科目は、引き続き個別試験の学習をメインに行います。一方、共通テストのみの科目については、各科目1週間で2〜3時間以上は学習時間を設けるようにしましょう。
11月からは、個別試験と共通テストのバランスを考えた学習計画が不可欠です。個別試験がある科目は、共通テスト:個別試験 = 2:8の割合で学習時間を設定します。共通テストのみの科目は、各科目1週間で3〜4時間以上の学習時間が確保できるようにスケジュールを立てましょう。
12月になると、個別試験がある科目は共通テスト:個別試験 = 6:4の割合で学習します。共通テストが近づいているため、共通テストに備えた準備を重点的に行います。共通テストのみの科目については、各科目1日1時間以上は学習時間の確保が必須です。
そして、冬休み以降は、共通テストの学習に特化します。過去問題を解き、自分の弱点を把握するとともに、苦手分野に対する対策を立てていきましょう。
9月は共通テストまで時間的猶予があるため、すべての時間を個別試験の学習に使えます。しかし、共通テストのみの科目は、隙間時間を利用して学習を始めておくとよいでしょう。
10月も引き続き、個別試験がある科目の学習をメインに進めます。共通テストのみの科目は、各科目1週間に1時間〜2時間以上は学習時間を確保しましょう。
11月からは、学習のバランスが重要です。個別試験がある科目については、共通テスト:個別試験 = 2:8の割合で学習計画を立てます。たとえば、1日10時間の学習時間がある場合、そのうち2時間を共通テストの学習、残りの8時間を個別試験の学習に割り振ります。
共通テストのみの科目については、各科目1週間に2時間〜3時間以上は学習時間を確保しましょう。
12月になると、共通テストが近づいてきます。このため、個別試験がある科目については、共通テスト:個別試験 = 3:7の割合で学習時間を調整します。共通テストのみの科目については、各科目1週間で7〜8時間以上は学習するように心掛けましょう。
そして、冬休み以降は共通テストの学習メインで学習を進めるとよいでしょう。
共通テストで高得点を獲得するためには、闇雲に学習するだけではなく、効果的な勉強法が重要です。大雑把な計画や勉強法では、学習範囲が絞れないだけでなく、本番のテストでしっかりとした成績が残せません。そこで、次の項では共通テストですぐれた成績を獲得する具体的な勉強法を紹介します。
共通テストで得点をとるには、基礎的な学力が何よりも重要です。どの科目でも教科書レベルの基礎知識がしっかりと身についていれば、共通テストである程度の得点は確実に獲得できるからです。高校での授業を受けながら教科書の内容は反復演習し、基礎学力を固めましょう。
共通テストで重要なポイントは、時間配分です。共通テストは、長文や資料を読み取らなければ解けない設問が多く出題されます。時間配分を誤るとひとつの設問に多くの時間を費やしてしまい、結果的にすべての試験問題まで辿りつかないかもしれません。
それゆえ、実際の試験時間を意識しながら学習に取り組むことも大切です。時間をかけても解けない問題は、ある程度で一旦諦めて先の問題に進みます。そして、安易なミスを防ぐ方法として、10分程度の見直し時間を確保できるように時間調整するとよいでしょう。
共通テストで得点を伸ばすには、過去問題を繰り返し解くことが有効です。共通テストは文章量が多いため、読解力や思考力を高めるには、過去問を反復演習するのが最適だからです。また、過去問にチャレンジする際は、実際の試験と同じ時間制限で取り組むべきです。これにより、本番同様の時間配分が身につき、試験での時間管理能力も向上します。
自分の苦手な分野は、どうしても学習への意欲や対策を後回しにしがちです。しかし、苦手を放置したままにすると、テストでの失点が増えるかもしれません。自分の弱点の把握と対策を入念に行い、全体の学力を高めるのが重要です。
本記事では、共通テストの対策について解説しました。記事内では、学習の開始時期や時間配分、対策方法など具体的に紹介しています。また、共通テストで得点を上げるための勉強法についても触れています。現在、共通テストの対策に悩みや不安を抱えている人は、今回の記事を参考に事前準備を入念に行い、ベストな状態でテストに臨みましょう。